関係の継続

よくよく考えて見れば、自然界そのものが「贈与」で成り立っていることに気づく。


太陽は何の見返りも求めずに光を注ぎ続けるし、海水浴をするのに海は入場料を徴収しないし、空気を吸うための許可を得る必要はなく、川の水を飲むのに一定の月額使用料金を払う必要もない。


自然の摂理は(等価交換ではない)贈与交換の原理で成り立っていて、すべてが循環するように上手いこと出来ている。


等価交換は関係の清算であり、贈与交換は関係の継続である。

例えるなら、私が仮にホテルに金を払って宿泊した場合、それは等価交換であるからホテルの従業員と人間的な交友を築くことは滅多にない。


これが清算だ。


逆に、周囲の人から無償で宿を提供してもらった場合、私は何も見返りを払ってはいないから「一方的な贈与を受けた」だけであり、人間関係が清算されることがない。

何か恩返しを出来る機会があればそれをしたいと思うようになるし、あるいは、その人ではない別の誰かに(その人に優しくしてもらったように)優しさを循環させていきたいと思うようになる。


これが関係の継続になる。