より高度な悩みを糧にして

より高度な悩みを糧にして

経済学者であるジョン・ケネス・ガルブレイス博士が、「失業者にただ校舎のペンキ塗りをさせるのではなく、『絵』を描いてもらうべきなんだ」と語ったことは有名である。


これまで人間にしかできないだろうと思われてきた仕事をロボットが純然と行うようになっていく。そして、今、私たちに問われていることは、仕事の再定義であり、人間の再定義である。


我々は、心の奥深くで、単純な世界から抜け出すことを望んでいる。そして、人類はより高度なモノへと悩みの先を求めている。絵を描き始めたら、そこから湧き出る無数の悩みに苦悶するだろうが、同時に見る創造性の泉に満たされることを強く望んでいる。


囲いの中で過ごす日々よりも、それから抜け出そうと試みて、傷つきながらも前進する、そういった命の喜びに人間は眩しさを感じるようになっている。人間は、それを追求する権利を持った存在として再定義され、21世紀の新たな希望の幕は開いていく。