「シェア消費」を育てよう 

規制緩和で「シェア消費」を育てよう 


家や車などを他人と共同で利用する「シェア消費」が、若い世代を中心に広がってきた。出費を抑えつつ広い空間や高価な商品を使え、人とのつながりも生まれるのが利点だ。既存の法や制度が追いついていない場合には、創意工夫を後押しする方向で考えたい。


 代表格のシェアハウスは寝室が個室で居間や食堂などが共用の共同住宅だ。大手企業がリストラで社員寮を廃止・転用したことから増え始め、年率3割で市場が拡大している。元団地や一戸建てなど、いまでは形態もさまざまだ。


起業志望者やシングルマザーに絞り、研さんや助け合いの場を兼ねた家もある。音楽スタジオや野外活動施設を備えた物件では愛好家が交流を重ねる。空き家の活用や地域コミュニティーの再生、消費の活性化にもつながる新しい暮らし方を伸ばしていきたい。


企業が先導する取り組みだけではない。ネットで募った旅行者を自宅に泊めたり、友人と共有の墓を建てたり、外国語と料理を教え合ったりと、消費者が主導するシェア消費の例も多い。


 中には趣味かビジネスか曖昧なものもある。こうした動きの一つ一つに既存の法や制度を適用しようとすれば、試行錯誤や挑戦の芽を摘みかねない。シェア消費は生活の向上につながるだけでなく、起業の土台にもなる。応援する姿勢で見ていきたい。